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『タケウチ店主のお肉論』第二話 フランス革命

執筆者の写真: 湯島 タケウチ湯島 タケウチ

更新日:2022年5月22日


『これアッシェして』

『マセドワーヌの野菜持ってこい』

『今日フォンドヴォー仕上げの日だから』


この人達はいったい何を言っているのだ?

広い厨房の隅で白いコックコートを着た竹内秀哉は、無駄に縦に長い帽子の中を?マークで満タンにしていた。

『あ?そっかお前高卒か…。』

調理場に配属した新入社員の八割は調理専門学校卒で、基本的な料理用語は既に理解していた。


湯島生まれの高卒ルーキーの私はフランス料理なぞ見たこともなければ、食べたことも無かった。

それでもフランス料理なんて見た目ばかりで美味い物では無いと、どこかで思っていたが、いつしかある事に気付く。

鯛や舌平目のムニエルには、その魚のアラで取っただし(フュメ)をベースにソースを作る。牛肉のステーキには仔牛の骨や牛スジと香味野菜を何日もかけて煮出したフォンドヴォーがソースになる。魚には魚、牛は牛、鴨は鴨…。『理にかなっている!フランス料理って凄い!』そう思うようになっていた。





その頃『湯島たけうち』では、和牛のタタキにポン酢醤油と大根おろしで幸せそうに一杯やるお客様で賑わっていた。



 
 
 

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